ドラクエ史上No.1という人も多いドラゴンクエスト11。
世間の評価も上々な訳ですが、個人的には「それはどうなの?」と思う所もあるので本音でレビューを書かせてもらいます。
プレイ時間は200時間ほどでクリア済みです。
ジャンル | ロールプレイングゲーム |
対応機種 | プレイステーション4 ニンテンドー3DS |
販売元、開発元 | スクウェア・エニックス |
ゲームデザイン | 堀井雄二 |
キャラクターデザイン | 鳥山明 |
音楽 | すぎやまこういち |
発売日 | 2017年7月29日 |
クリアまでのプレイ時間 | 50時間~60時間 |
特徴 | ・PS4版は高精度な3Dグラフィックで表現されているのが特徴。 ・3DS版は3Dと2Dドット絵(点で描画された絵)の2つの モードが選べるのが特徴。 |
新要素 | スキルパネルや戦闘ではゾーン、れんけい、 モンスター乗り物、PS4版では馬に乗って移動できるなど。 |
伝統的でありながらも進化したドラクエ11
きれいなだけではないグラフィック
次世代機のPS4から出たというだけあってやはりグラフィックはとてもきれいです。
風になびく草原や川の流れは美しく、家の中にある小物などの描写も細かく表現されていて、建造物もレンガや石の質感がよく出ていたと思います。
ただそれは、海外の有名AAAタイトルのようにリアルできれいという事ではなくドラクエの世界観に合ったちょどよい感じに 調整されていてその辺のバランス感覚はすばらしいと思いました。
壮大なストーリー 、キャラ描写は現代のRPG的に
ストーリーは壮大でかなりボリュームがあります。だいたい50時間くらいはかかるそうです。僕は寄り道しまくりなので200時間かかっちゃいました。
シリーズ同様童話的というか残酷な所もあるけどどこか温かみのある堀井節的なところは健在です。
といっても堀井成分は他シリーズと比べると若干薄目な感じはします。テレビか何かで見たのですが堀井氏は後進を育てるため若手に任せる部分が多かったようでその影響でそう感じられたのかもしれません。
終盤の物語の展開は個人的に納得はできませんでしたが好みの問題だと思います。
キャラやモンスターなどの絵はいつも通りの鳥山節。でも今の鳥山明氏の絵よりも昔のアナログテイストの方が好みです。イケメン盗賊のカミュ、セクシー格闘家のマルティナ、オネェキャラのシルビア、謎の老人ロウなど、個性分けもぬかりなし。
ここら辺はベタの美学というか、安定した魅力があると思います。
旧作に比べるとキャラ描写がよりしっかりとされていて現代のRPGに近い感じになっていると思います。モーションキャプチャー(実際の人間の動きをデジタル的に記録する)が採用されているためキャラ動きがリアルでなめらかです。
キャラボイスはありませんが、ファミコンのドラクエシリーズで遊んできた人間としては特に違和感はなかったです。
※ボイスはドラゴンクエスト11Sで搭載。
コマンド式を死守
戦闘は今や絶滅危惧種であるコマンド式を採用してくれたのはうれしいです。シリーズファンからするとアクションになるともはや別ゲームという感じがするので。
難易度はドラクエにしてはかなりやさしくなり詰まることはほとんどないと思います。
あと、新たに追加されたシステム、スキルパネルやゾーン、れんけいですが今のRPGとしては新鮮味がないとはいえ、ゲームのいいアクセントになっていたと思います。
過去作に縛られすぎたドラクエ11
すぎやま先生も高齢なので仕方がないのだが
ドラクエ11で一番残念だったのはいまいち印象に残る曲がなかったことです。曲のクオリティ自体は高いのでしょうがとにかくピンと来ない。「おっ、これいいな」と思ったら過去作のアレンジ曲だったりして、クリア後の特典で手に入れたリメイク版ドラゴンクエスト(初代)のフィールド曲を聴いて「そうそう!これ!」と思ったくらい。
戦闘曲にしてもずっと聞いているうちに味わいが出てくるのかと思いきや結局味わいを感じる事もなくゲームクリア。もう少しパンチのある曲がよかったです。
そもそも 過去作品の曲のアレンジを使いすぎだと 思います。余計にドラクエ11の曲の印象の薄さが目立ってしまう気がします。
ファンサービスにしてもやりすぎ
ストーリーにしてもファンサービスの一つだろうけど明らかに過去シリーズを意識して似せた場面も多く、過去作品に縛られすぎていると思いました。
ストーリーの本筋自体は悪くなく後半の展開には納得できない所がありましたが、それは好みの問題なので仕方ないです。ただ、ドラクエはもともと童話的、昔話的な小さな物語の集合体だと思うので似たような話が多くなってしまうかもしれないけど、 過去作のアレンジ的なイベントが続くとウンザリとします。
あと、町人の会話はなんかもあまり魅力的に感じませんでした。いつものジワジワとくる堀井節が感じられない。朝と夜、町人全てと会話しないと気が済まない自分の神経症的なプレイの仕方が悪いとはいえ町人との会話が結構な苦行でした。
戦闘がぬるま湯に
あと戦闘の難易度が低すぎる気がします。後半にはかなり強いボスが出てきてもそれまでは雑魚敵が言葉通り本当に雑魚でボスでさえも弱い。全滅することなどまずありえなく、緊張感がありません。
経験値稼ぎが必要になるくらい難しくなくてもいいけどボスを倒したときの手ごたえぐらいは欲しいです。
MPも簡単に回復できるし、昔のゲームみたいに理不尽なぐらいの方がかえってスリリングでよかったかも。
本当の意味での集大成とは
このドラクエ11はドラクエシリーズの集大成のようですが、過去の作品の人気のある曲やイベントなどを多用してそれが集大成というのは違うと思います。ファンサービスにしてもやりすぎです。ラスボス戦であの名曲が流れた時は僕は心底がっかりしました。
本当の意味での集大成とは、過去作からガワだけを取って来るのではなく、堀井雄二、すぎやまこういち、鳥山明という天才たちがシリーズを重ね培った経験、知識、技術、センスそれらを駆使して伝統を守りながらも作ったまったく新しいドラクエ。それが本当の意味での集大成と言えるんじゃないでしょうか。
僕はそういうドラクエがプレイしたかった。
失礼ながら、ドラクエ11をプレイして天才たちの衰えというのを感じてしまった。残念ながらそれが素直な感想です。
ドラクエ11の感想まとめ
おすすめ度
えらそうに辛口なことを書いたのはあくまでドラクエ愛ということでお許しを。
ゲーム自体のクオリティはとても高いです。グラフィックはドラクエに合ったきれいなものだし、ストーリーも壮大でキャラも魅力があります。
そして、どこまでもプレイするユーザーのことを考えて作られていると思います。
話を忘れても大丈夫なようあらすじなども充実しているし、ダンジョンで行き止まりに来ても大体宝箱がある。やりこみ要素も豊富です。
ただ、イベントや曲のアレンジが多く戦闘がやさしすぎるのはやはり難点かと。
次回ドラクエ12では過去作に縛られすぎない思い切ったドラクエを作っていただけると僕としてはうれしいです。
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