絵を描いたり画像編集の時に役立つ入力機器、ペンタブレット。
そのペンタブレットには主に通称 板タブ(板タブレット)と通称 液タブ(液晶タブレット)の二種類があります。
デジタルイラストなどの作業でペンタブレットを導入しようと思っても板タブ、液タブのどちらが自分に合っているか判断するのは結構難しいので板タブと液タブの特徴、比較してのメリット、デメリットを簡単にまとめたいと思います。
よかったら参考にしていただけたらと思います。
板タブ、液タブとは
まずは板タブレットと液晶タブレットの簡単な説明と違いを。
板タブとは
PCなどで使うペンと板状の座標を読み取る装置(タブレット)がセットになった入力機器。
ペンを持って紙に書くようにペン先をタブレット上で動かすとカーソルが動かすことができます。それによって画面上に線を描画することができます。
主にイラストや漫画製作、映像制作、写真編集などに使われます。
なかには手首に負担にかからないというのでマウス代わりに使う人もいます。
液タブとは
PCなどで使うペンを用いた入力機器ですが、板タブとは異なり画面に直接書くことができます。
使用用途は板タブと同じくイラスト制作や写真編集。画面に直接描けることから紙に書く感覚に近いのでイラストレーターや漫画家に好まれています。
主なメーカーと世界シェア
今はHUION(フイオン)やXP-Penなどの海外メーカー製も普及していますが日本のワコムが世界で大きなシェアを獲得しています。一般的にワコム製ペンタブの性能は良く海外製に比べ値段も高いです。
安くて性能もいいコストパフォーマンスの高い海外製、価格も高いが性能がより高いワコム製というのがペンタブレット業界のイメージ。
最近はワコムと海外製の性能差が少なくなってきたようです。
板タブのメリット、デメリット
板タブ、液タブそれぞれに利点、欠点があるのでそれぞれ箇条書きしていきます。
板タブのメリット
- 自分の手で絵が隠れない。
- サイズにもよるが邪魔になりにくい。
- 読み取り面に紙を敷くと紙の書き味で描ける。
- 価格が安い。
- モニタを見ての作業なので前かがみにならずに済む。
- 液晶が傷つく心配をしなくていい。
板タブのデメリット
- 実際に手を動かして描いている場所と描いた絵が表示されるモニタが離れているので思った場所に線を引くのが難しい。
- どんなに慣れても紙に描く時のような直感的な感覚で描けない。
板タブも工夫次第では快適に作業ができるようになります。
例えばタブレットをモニタにできるだけ近づけたり、タブレット入力面にコピー用紙などの紙を貼ったり、タブレット板自体に学校の美術室の机のように傾斜をつけたりします。
ワコムタブレットならプロパティのマッピングで縦横比の保持にチェックを入れるなど。
個人的には上図のように、表示エリアでモニタの描画表示の大きさとタブレットの入力範囲の大きさを自分の好みに合わせて調整すると正確に線を引きやすいです。
液タブのメリット、デメリット
液タブのメリット
- 紙に描く時のように直感的に描ける(線が正確に引ける)。
- 普通にモニタ代わりになる。
- 持っていると満足感に浸れる。
液タブのデメリット
- 値段が高い。
- 画面が近くなるので目が疲れる。
- 人によっては前かがみになり肩がこる場合もある。
- 速くペンを動かすとペン先カーソルが遅れる。(製品、接続するPCの性能によって差がある)
- 液晶画面に傷がつかないか常に心配になる
- 自分の手で絵が隠れる。
デメリットが多くあまり印象が良くないかもしれませんが、直感的に絵が描けるというのは何よりも最大の長所です。特に線を多く引く人には最も恩恵が大きいです。
個人的には線を引く精度が増すという事で漫画の線画をデジタルで描くには必須という感じです。
アナログ(紙)で絵を描く時のメリット、デメリット
ついでに紙に描くメリット、デメリットも。
紙に描くメリット
- 紙とペンの距離が0距離なので思った通りの線が引ける。
- 紙やペンなど初期費用がデジタルより安い場合が多い。
- 全体を見渡しやすい。
- 描いているという生の実感が味わえる。
- 作品がリアルな形として残る。
紙に描くデメリット
- デジタルに比べ失敗したとき修正しにくい。
- こだわると道具をそろえるのが手間。
- インク、絵の具が乾くのを待たないといけない。
- 作業場が汚れる。
- デジタルに比べ作業時間がかかる場合が多い。
個人的には充実感を感じるのはやっぱりアナログ作画です。全体が見渡しやすいのも大きい。作品も物として残りますしね。
板タブが向いている人、液タブが向いている人
板タブ、液タブどちらが自分に合っているのか、ポイントを簡単にまとめました。
板タブが向いている人
線を引く作業がそんなに多くない、初期投資は安いほうがいい、正しい姿勢で作業したい、絵全体を見渡すように描きたい、とりあえずデジタルで絵を描くを体験したいという人は板タブでいいと思います。
液タブより安いというのは魅力ですし、デジタルで絵を描く事を体験したい人だともし合わなかった場合損害が少なくてすみます。
おすすめ板タブ
One by Wacom
個人的には板タブではこれ一択。筆圧レベルこそ2048とスペックとしては低いですが実際問題これで十分です。ショートカット機能等がないし必要最小限なので価格が安いのがなによりいいです。
クリスタがタダで付いてくるのもいい。初めて板タブを使う人に特にオススメです。
Intuos Pro
本気で絵で食べていこうと思うならこれだと思います。数多くのプロのイラストレーターが使っています。
液タブが向いている人
できるだけ直感的な感覚で作業したい人や、線を引く作業が多い人(漫画を描きたい人など)は液タブがいいと思います。何度も線を引き直す必要がないので作業時間も短縮できます。
基本ワコム製品がおすすめで、金銭的に厳しい人はコストパフォーマンスの高い海外製を狙うといいと思います。
おすすめ液タブ
Wacom Cintiq16
Wacom One 13
やっぱりワコム製の描き味は最高です。
XP-Pen Artist 15.6
コストパフォーマンスは最高だと思います。評判もいいです。
アナログでいい人
アナログのあの生の感覚というのが忘れられない、作品を形として残したいという人は紙に描くアナログ環境でいいと思います。
デジタルに出力したい、残したい人はスキャナで絵を取り込みマウスで作業というのもありだと思います。
例えば漫画制作だと線は紙とペンのアナログで、スキャナで線画を取り込みソフトを使ってデジタルでベタ(黒く塗りつぶす)、トーンを貼るなどと作業します。
まとめ
よくネットなどで液タブは「紙に描くように」というような表現がありますが、そう聞くと「液タブ=紙」というイメージを持ってしまいます。
でも、液タブで描く感覚と、紙に描く感覚にはかなり大きな差があるため、板タブ、液タブ、アナログ(紙)と分けて自分に合った制作方法を考える必要があると思います。
それぞれどの方法がが優れているというわけではなくざっくり向いている方法を分けると、安く、省スペースでデジタル環境を導入したい人は板タブ、線を引くことが多く直感的な感覚でデジタル作業したい人は液タブ、生の感覚で作品を作っていきたい人はアナログという感じでしょう。
どの方法にも相応の良い所、悪い所があるのでどの方法にするか悩んでいる人は自分の求めるものを中心に考え選ぶのがいいと思います。
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